モルスタは、最新のカイリー2の2016年の売上を51億と予想している。彼はたった1回しかポストシーズンでプレーしていないが、卓越したハンドル、ショットメーキング、アンクル・ドリュー(ナイキのCMでアービンが演じる老人のキャラ)、ペプシの広告がその錬金術の役割を果たしている。

この状況を見れば、カリーは2013年の時点でクールだとは思われていない可能性がある。カイリーと同じポジションでプレーしているので、マーケティング的に重複してしまう問題もある。ナイキは、商品を他とは大きく差別化する事を至上命題にしている。バスケシューズの先駆者であり、過去にナイキとジョーダン・ブランド設立に貢献しながらも1991年に解雇されたソニー・ヴァッカーロは、シューズをマーケティングするための流儀を持つ。それは「選手自身をマーケティングする以外に方法はない」という事だ。

ナイキの強みと弱みは切り離すことができない。ナイキは、トップ・ブランドとして、多くのスターを擁している。それはとてつもない優位をもたらすが、基本的にバスケットボールのマーケティングはミニマリズムなので、多くの選手と多くのメッセージをプロモーションする事は非効率なのだ。

ナイキのマーケティング

アービンは成功しているが、ナイキでは伝統的に小さいポイントガードをトップ・ブランドとしてプッシュする事はない。アービンのシューズはナイキの中でも最も安く、110ドルくらいの価格設定になっている。110ドルという価格は、品位よりもボリュームが大事だと言っているようなものだ。ナイキのハイ・バリューのシューズは代々アスレティックなウィングたちが担っている。マイケル・ジョーダンからはじまり、後継者としてコービーがいて、その伝統をレブロンが受け継いでいる。ナイキの顔になるには普通の人間を越えた存在でなければいけないのだ。
ナイキのマーケティングに詳しい人間がカリーについて語った。「カリーが人間的で、かわいくて、怪物とはほど遠いイメージなのは、ナイキにとっては忌み嫌うべきものだ。ナイキはカッコいいヘアスタイルで、筋肉質なイケメンを好む。」

これがカリーが持つパラドクスだ。カリーがナイキから軽い扱いを受けた理由は、カリーが人気を得た理由と同じなのだ。ナイキはまさにファンがカリーを受け入れたのと同じ理由でカリーを逃したのだ。